定義
キャスト(ホステス)の成績——本指名売上・獲得ポイント・指名本数など——に応じて、基本となる時給(または日給)が段階的に上がったり下がったりする給与システムの総称。固定時給制でない限り、キャバクラ・クラブ・ラウンジ・スナックの多くがこの「スライド」方式を採用する。店ごとに、成績の区切りと対応時給を並べた「スライド表」を持つのが一般的で、一定期間(多くは1か月、店により半月・週)の成績を集計して翌期の時給ランクを決める運用が多い。スライドの“指標”によって主に4つの型に分かれる——(1)指名本数スライド制(本指名・場内指名の本数で変動)、(2)売上スライド制(本指名客が支払った売上=小計の合計で変動)、(3)ポイントスライド制(本指名・場内・同伴・ドリンク・ボトル等の行動をポイント化し合計点で変動)、(4)給率制(売上に対する給料の割合で決まる)。呼称は店ごとにまちまちでも、本質は「何を成績指標にして、いくらの時給にするか」という条件設定の違いに尽きる。
読み・由来
読み:すらいどじきゅう
「スライド(slide=ずれる・段階的に移動する)」+「時給」の和製英語的な造語。固定時給に対し、成績に応じて時給が“スライド(上下)する”ことから、業界で「スライドシステム」「スライド制」と呼ばれるようになった。元来は銀座の高級クラブで「純売上◯万円ごとに日給◯円アップ」という日給スライド(昇給)制度が古くからあり、キャバクラの普及とともに時給ベースの「売上/ポイント/指名本数スライド」として体系化された。語源を厳密に記した一次資料は乏しく、業界慣用語として定着したもの。
使い方(例)
「このお店、固定じゃなくてスライド時給だから、指名取れば取るほど来月の時給上がるよ」「うちはポイントスライド。本指名1P・場内0.5P・同伴2Pで、月の合計ポイントでスライド表の時給が決まるの」
業態による違い
業態でスライドの“軸”と単位が異なる。キャバクラは時給ベースで、指名本数/売上/ポイントの各スライドが混在し店ごとに多様。ニュークラブ・ラウンジは時給制+各種バックにスライドを適用。銀座などの会員制高級クラブは日給(保証)制が基本で「純売上連動の日給スライド(例:純売上10万円ごとに+2,000円)」を使い、しかも翌月は保証額にリセットされる点が時給スライドと異なる。スナックは時給制が圧倒的に多くバックが薄いため、スライドがあっても「店の売上連動」程度で、個人成績の精緻なスライド表を持たないことが多い(一律時給+ボーナスの店もある)。ガールズバーは女子給比率が高くスナック寄りの簡易設計になりやすい。共通する困りごとは、店ごとにスライド表(指標・刻み・金額)が全く違い、本指名売上集計・ポイント集計・保証との比較・労働時間での加重平均・端数丸めを毎月手計算する負担が大きいこと。
夜レジでの扱い
夜レジ(水商売特化POS)は、スライド時給を中核機能として自動化する。各出勤日について「本指名売上ベース時給・ポイントベース時給・当日保証時給」を算出し、その日の時給=max(この3つ)を採用する。月の時給=floor( Σ(その日の時給 × その日の労働分) ÷ Σ労働分 )で、日ごとの最大時給を労働時間で加重平均する(手入力の調整時給も加算可)。これにより、売上スライド・ポイントスライド・給率制のどの呼称・方式でも、同一のルール式で表現できる設計になっている。スライド時給と並ぶキャストバックは5系統(指名/延長/オーダー商品/本指名売上/ボトル)で計算し、本指名がいないフリー卓のボトルバックは場内指名キャスト全員で均等割り(丸めは最後に1回だけ)。さらにホステス源泉徴収は「(報酬 − 5,000円×計算期間の日数)×税率」で控除日数を差し引いて算出し、厚生費・給与率・報酬明細書まで会計連動で自動出力する。計算ロジックの詳しい解説は機能ページ「給与計算」(/reji/features/payroll/)、バック計算の全体像は「キャストバック」(/reji/features/cast-back/)、料金は「料金プラン」(/reji/pricing/)を参照。エアレジ・スマレジなど一般POSは水商売固有のバック・スライド時給・ホステス源泉を前提設計していないため、これらが手計算になりがち——という差別化の文脈で語られる。
相場・注意点
スライド時給の“水準”は業態・地域で大きく差がある。キャバクラの時給相場は概ね3,000〜6,000円(都内高級店は6,000〜8,000円以上、売上次第で1万〜2万円超のキャストも。地方・郊外は3,000〜4,500円中心)。ラウンジ・中規模クラブは3,500〜8,000円前後。銀座の会員制高級クラブは日給制が主流で、保証日給30,000〜70,000円以上+「純売上10万円ごとに日給2,000円アップ」のスライドが定番(翌月は元の保証に戻る)。スナックは時給制中心(相場1,500〜3,000円、最多2,000〜2,500円)でバックが薄く、「時給スライド制(店の売上に応じ変動)」か「時給一律制」に分かれる。女子給比率(売上に対する女子給与の支払い率)は多くのキャバクラで50%前後、スナック・ガールズバーは高めになる傾向。多くの店は売上スライドとポイントスライドを両方計算し「高い方を採用」する運用をとる。なお、ここに挙げた数値は求人媒体・店舗系サイトの記載に基づく目安であり、公的統計ではない。エリア差・店差・時点差が大きく、各サイトのスライド表の数値もいずれも「あくまで例」と明記されている点に注意。
よくある質問
- スライド時給と固定時給は何が違いますか?
- 固定時給は成績に関わらず時給が一定なのに対し、スライド時給は本指名売上・ポイント・指名本数といった成績に応じて時給が段階的に上下します。指名を取るほど翌期の時給が上がる仕組みのため、頑張りが収入に反映されやすい一方、成績が落ちれば時給が下がる方式の店もあります。
- 売上スライドとポイントスライドはどちらが得ですか?
- どちらが有利かはキャストの動き方とスライド表次第で一概には言えません。本指名客の単価が高い人は売上スライド、同伴やドリンクなど行動量が多い人はポイントスライドが向く傾向があります。実際には両方を計算して「高い方を採用」する店も多く、その場合は自分の得意な伸ばし方で時給が決まります。
- 銀座の高級クラブのスライドは時給制と違うのですか?
- 違います。銀座の会員制高級クラブは日給(保証日給)制が基本で、「純売上10万円ごとに日給が2,000円アップ」といった日給スライドが定番です。さらに、その昇給は当月分に適用され翌月は元の保証日給にリセットされる点が、翌期の時給ランクが続く時給スライドとは異なります。
出典(21件)・監修
監修:中込 洸(日富士貿易 代表/夜レジ統括)。業務用語は実機仕様、相場・スラングは複数の業界情報を突合し敵対的レビューで検証。最終更新:2026-06-19。
- https://yoruno.jp/reji/features/payroll/
- https://lounge-tapioca.com/info/10726/
- https://lounge-tapioca.com/info/10390/
- https://cabazon.jp/faq/caba/slide-point-uriage/
- https://cabapage.site/blog/beginner/salary/
- https://times.trust-operation.com/salary-system/
- https://emily-job.jp/column/money/811/
- https://note.com/cabajob/n/nb5f73fe88e2e
- https://cabawork.net/point/
- https://www.caba2.jp/blog/2905/
- https://www.lounge-baito.com/blog/column/10957/
- http://mizbenews.jp/system/
- https://www.kabukicaba.com/kabukityo/2002/
- https://nomination.co.jp/blog/1997/
- https://www.ginza-night.com/trivia/rewardsystem/
- https://www.ginza-nightworks.com/wages/
- https://ginza-luce.net/work-wages/
- https://emily-job.jp/column/money/1057/
- http://venus.best/index.php/slide
- https://chocolat.work/column/service/331/
- https://fuu-tax.com/news/hostess-sales/