① 水商売の給与計算が複雑なのは「店ごとにルールが違う」から
同じ「キャバクラ」でも、ある店は本指名売上に応じてスライド時給が上がり、別の店はポイント制、また別の店は給率制です。源泉も「報酬から一律」か「ホステス控除あり」かで分かれ、厚生費も定率・定額・併用と分かれます。汎用の給与ソフトや一般POSがここでつまずくのは、水商売固有の計算(バック・スライド時給・ホステス源泉)を前提に設計されていないからです。
夜レジは水商売専用に、これらを1円単位の精度で扱うことを中核として設計しています。料金・バック率・時給などのマスタ値は伝票・出勤の時点でコピーして凍結するため、あとから改定しても確定済みの給与はさかのぼって変わりません。
② スライド時給とは? ポイント制・売上制・給率制・本指名制の違い
呼び方は店によって「売上スライド」「ポイントスライド」「給率制」などさまざまですが、要は「何を成績の指標にして、いくらの時給にするか」という条件設定の違いです。夜レジはこれをルール式(後述④)で表現するため、下記のどの方式にも同じロジックで対応できます。
| 方式 | 成績の指標 | 夜レジでの扱い |
|---|---|---|
| 本指名売上ベース | 本指名でついた売上額 | 売上から時給を算出する条件式 |
| ポイントベース | 指名・売上から得たポイント | ポイントから時給を算出する条件式 |
| 給与率(給率)制 | 本指名売上÷支払金額×100 | 給与率を自動算出(→⑦) |
| 保証時給 | 体入・新人の最低保証 | 保証期間中の下限として比較対象に |
これらは排他ではなく、日ごとに3者(本指名売上ベース/ポイントベース/保証時給)を比べて最も高い額を採るのが夜レジの基本動作です(→③)。
③ 夜レジのスライド時給は「日ごとのmax × 労働時間の加重平均」で計算する
「日替わりでスライド時給が変わるとき、月の時給をどう出すのか」は、競合のサービスがどこも公開していない論点です。単純な平均では、長く働いた日と短く働いた日が同じ重みになってしまい、現場の感覚と合いません。夜レジは労働時間で重みづけします。
max(本指名売上ベース時給, ポイントベース時給, 当日保証時給)月の時給 =
floor( Σ(その日の時給 × その日の労働分) ÷ Σ労働分 )= 日ごとの最大時給を、労働時間で加重平均(+手入力の調整時給)。
売上ベース ¥2,800
保証 ¥2,500→ max採用 ¥2,800
売上ベース ¥2,200
保証 ¥2,500→ max採用 ¥2,500
基本給(時給制)=労働時間×この時給。保証時給を持つ期間は当日保証額を下回りません。
④ 成績判定はルール式(DSL)で店舗ごとに自由設計できる
条件式では {{本指名売上}} {{ポイント}} {{バック}} {{出勤日数}} {{本指名件数}} といった変数を使い、四則演算・比較・論理・ceil/floor/round に対応します。複数の条件が当てはまる場合は、優先度(昇順で最初に一致/最大値)で採用ルールを決められます。安全のため計算は許可した演算だけに限定し、上限値でクランプします。
これにより、店ごとに千差万別の「スライド表」を、紙やExcelの早見表ではなくそのまま計算ロジックとして持てます。
結果条件式
「この成績を満たすか」を判定(例:本指名売上≧80,000)。
時給条件式
満たしたときの時給を算出(例:基本時給+300、または固定3,500)。
⑤ ホステス報酬の源泉徴収を自動計算(報酬−5,000円×暦日数)×税率
ホステス等の報酬・料金の源泉徴収では、支払金額から「5,000円 × その支払金額の計算期間の日数」を差し引いた残額に税率を掛けます(出典:国税庁 タックスアンサー No.2807)。この「日数」は暦の日数であって営業日数・出勤日数ではありません。多くの解説記事が「営業日数」と誤記している論点で、夜レジはここを暦日数で正しく実装しています。
ceil(報酬 × 税率)ホステス控除方式 =
ceil( (報酬 − 5,000円 × 暦日数) × 税率 )暦日数:前期(1〜15日)=15日/後期=月末日−15/通期=その月の末日。
| 区分 | 計算期間の暦日数 |
|---|---|
| 前期締め(1〜15日) | 15日 |
| 後期締め(16〜末日) | その月の末日 − 15日 |
| 通期締め(月次) | その月の末日(暦日数) |
税率はスタッフ個別 → 種別 → 既定の順で適用します。源泉は常に切上で計算します。具体的な税率・控除額の適用や最終的な税務判断は、必ず税理士等の専門家にご確認ください(出典:国税庁 No.2807)。
⑥ 厚生費は3つの方式(定率・定額・併用)に対応
| 厚生費の方式 | 計算の考え方 |
|---|---|
| 定額 | 設定した月額をそのまま控除。 |
| 残額判定+半月繰越 | 控除できる残額を見て計算し、引ききれない分を半月へ繰り越す。 |
| 日割り上限 | 出勤日数 × 日額を、月額上限を超えないようにクリップして控除。 |
厚生費は所得税の後に計算します(残額計算で所得税の結果を使うため)。徴収タイミングは日次/定期(月次)から選べ、定期設定の店舗では日次率を0にして二重計上を防ぎます。
⑦ 給与率(給率)は「本指名売上 ÷ 支払金額 × 100」で自動算出
「給率の分母は何か」も、競合のページが触れていない論点です。夜レジは分母を総支払額と定義し、floor(本指名売上 ÷ 総支払額 × 100) で給与率を整数%として算出します(100%を超えることもあり得ます)。月次集計では、出勤日数・勤務時間・ポイント・本指名売上・バックとあわせて給与率も記録されます。
floor( 本指名売上 ÷ 総支払額 × 100 )⑧ 雇用形態(給与=雇用/報酬=業務委託)で計算を正しく分岐
雇用(給与所得)と業務委託(報酬)では、源泉徴収の扱いが異なります。夜レジは形態に応じた計算を設定として持てるため、店内に両方の契約が混在していても、それぞれに正しいロジックを当てられます。深夜帯の割増など労務面の取り扱いも含め、最終的な税務・労務の判断は税理士・社労士等の専門家にご確認ください。夜レジは「計算を透明にし、根拠を残す」ことで、その判断を支える土台を提供します(源泉の出典:国税庁 No.2807)。
雇用(給与)
給与としての控除ルールを適用。勤怠・時給を基礎に計算。
業務委託(報酬)
報酬としての源泉ルール(ホステス控除方式など)を適用。
⑨ 会計・出退勤・バックと連動し、締めから明細PDFまで自動
日次の給与は 総支給 = 基本給(時給制=労働時間×時給)+ バック + ボーナス、控除合計 = 入力控除(送迎・ヘアメイク・レンタル・その他・ペナルティ)+ 所得税 + 厚生費。手取り = floor(総支給 − 控除 − 前借・日払い) で算出します。集計は前期(1〜15)/後期(16〜末)/通期の3区分で行います。

バックの計算詳細は キャストバック自動計算 をご覧ください。
⑩ 計算ミスによる給与トラブルを、構造的に防ぐ
「先月のバック率や時給を直したら、確定済みのキャスト給与までさかのぼって変わってしまった」——これは賃金トラブルや不信の原因になります。夜レジは計算時点の値を記録する設計なので、改定は今日以降にだけ効き、過去は守られます。
加えて、全操作・全変更は監査ログとして記録されるため、「いつ・誰が・何を変えたか」を後から追跡できます。報酬明細書には支給・控除の内訳を表示でき、キャストへの説明責任を果たす土台になります。
⑪ 業態別の対応
キャバクラ/ラウンジ
本指名売上・ポイントのスライド時給と各種バックを、会計連動で自動集計。
クラブ・ホスト
給率制や高額売上のスライドも、給与率の分母を明確にしたうえで自動反映。
スナック/ガールズバー
シンプルな時給・少人数運用にも対応。保証時給や定額厚生費も設定可能。
⑫ よくある質問
スライド時給とは何ですか? どう計算しますか?
スライド時給が日によって変わる場合、月給はどう計算しますか?
夜レジのスライド時給は本指名売上・ポイント・保証のどれで決まりますか?
ポイントスライド制・売上スライド制・給率制の違いは何ですか?
ホステス報酬の源泉徴収はいくら引かれますか? 5,000円控除の計算方法は?
源泉の控除日数は営業日数ですか、それとも暦日数ですか?
厚生費はどう計算しますか? 定率・定額どちらにも対応できますか?
保証時給(体入・新人)はスライド計算にどう反映されますか?
給与率(給率)はどの売上を分母に計算しますか?
給与明細はキャストに自動で発行できますか?
本記事は夜レジの実際の管理画面・計算仕様に基づきます。源泉徴収の取り扱いは国税庁 タックスアンサー No.2807 を参照しており、具体的な税務判断は税理士等の専門家にご確認ください。著者:中込 洸(日富士貿易 代表/水商売向けクラウドPOS「夜レジ」統括)/会社情報・特商法表記/最終更新:2026年6月
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