定義
店がキャスト(ホステス/ホスト)一人ひとりに課す、一定期間(多くは月単位、店により週単位や半期)で達成すべき最低限の成果目標のこと。代表的な対象は「売上」「指名(本指名・場内指名)の本数」「同伴の回数」「出勤日数」で、クリスマス・周年・バースデーに合わせた「イベントノルマ」が加わることもある。基準額・回数は本人の人気度や実力、契約(給率・歩合)に応じて個別に設定される。
ノルマには大別して2タイプある。未達だと罰金・減給などのペナルティが科される「絶対達成ノルマ」と、あくまで努力目標で未達でもペナルティのない「目標ノルマ」で、面接時にどちらかを確認することが重要とされる。店側の狙いは「キャストのモチベーション向上」と「店の売上の安定確保」の2つ。高時給を支払う前提として最低限の成果ラインを示し、達成を前提に時給・バックを設計しているため、未達だと報酬から差し引かれる構造になっている店もある。
読み・由来
読み:のるま
外来語。語源はロシア語「Норма(norma/ノールマ)」で、もとはラテン語 norma(大工の直角定規→規則・基準・規範)に由来し、英語 norm/normal と同根。ロシア語では本来「基準・規則・標準作業量」を指す中立語で、ソ連の社会主義労働では「時間ノルマ」「生産高ノルマ」として労働者に課す標準作業量を意味した。日本へは第二次大戦後のシベリア抑留からの帰還者が伝えたとされ(有力説)、過酷な強制労働の文脈で持ち込まれたため、「強制・義務・過酷な割当」という強いネガティブな含意を帯びたとされる。現在は「割り当てられた仕事・数値の目標量」を指すビジネス用語で、英語では quota(割当)が最も近い。水商売の用法は、この一般ビジネス語の「個人に課す数値目標」が接客業の成果指標(売上・指名・同伴)に転用されたもの。
使い方(例)
「今月、同伴ノルマあと2回足りないから、今日お客さん誘って同伴で入るわ」「うちは絶対達成ノルマじゃなくて目標ノルマだから、未達でも罰金は引かれないよ」「先月は売上ノルマ未達で、不足分の10%が罰金で天引きされた」
業態による違い
高級クラブ・キャバクラ(六本木・銀座系):同伴ノルマ(月4回前後=週1ペース)や売上ノルマが厳しめ。指名・売上至上主義の店では未達罰金や時給スライドが明確。|スナック:小規模でアットホーム、接待をしない飲食店営業のため構造が異なり、明確な売上/同伴ノルマを置かない・緩い店が多い。|ガールズバー:カウンター越しのカジュアル接客で、ノルマなし/緩めを売りにする店が比較的多い。|ラウンジ:キャバクラとスナックの中間で店により幅が大きい。|ホストクラブ:本数(ボトル等)・売上ノルマの未達が客への売掛(ツケ)営業に直結しやすく、悪質な高額売掛や性風俗就労の要求・強要が社会問題化。2025年(令和7年)に成立・施行された改正風営法(同年5月28日公布、主要規定2025年6月28日施行、一部2025年11月28日施行)で、売掛回収を目的とした威迫や本番行為の要求・強要が禁止・罰則化され、無許可営業等の罰則も大幅に強化された。
夜レジでの扱い
ノルマ(売上・指名本数・同伴回数)の進捗や達成判定は、その元データである「キャストごとの売上・指名・同伴・本数の正確な日次/月次集計」に完全に依存する。夜レジはこの集計を自動化できる点が一般POSとの差で、(1)ランキング機能=キャスト別の売上・指名件数を日次/月次で自動算出し、表彰や評価会議の資料に使える、(2)日報・月報機能=会計データからキャスト別実績を自動集計してPDF出力できる。さらにバック計算とスライド時給の仕組みがあるため、「ノルマ達成度に連動する時給スライドやバック」の根拠数字を機械的に出せる。バックは指名/延長/オーダー商品/本指名売上/ボトルの5系統で計算し、本指名のいないフリー卓のボトルバックは場内指名キャスト全員で均等割り(丸めは最後に1回)。スライド時給は max(本指名売上ベース時給, ポイントベース時給, 保証時給) を月の労働時間で加重平均して算定する。エアレジ・スマレジ等の一般POSはキャスト別の指名/同伴/本指名売上の按分や逆スライド計算に非対応で、ノルマ進捗もペナルティ算定も手計算になりがち。計算ロジックの詳細は機能ページの「キャストバック自動計算」(/reji/features/cast-back/)、料金は「料金プラン」(/reji/pricing/)、機能全体は「機能一覧」(/reji/features/)で確認できる。なお現状の夜レジには「ノルマ」という名称の専用機能や、目標値との差分を可視化する進捗管理UIは明記されておらず、実績集計・ランキングまでが到達点。店舗運用としては、夜レジの実績データをノルマ管理の基礎数字として用いる位置づけになる。
相場・注意点
相場はあくまで一例で、店・地域・人気度により大きく変動する。【設定の目安】出勤ノルマ=月10〜15日/指名ノルマ=月10〜20本/同伴ノルマ=月2〜5回(高級クラブは週1=月4回前後が多い)/売上ノルマ=月10万〜100万円超(新人は月20〜30万円、経験者・売れっ子は50万円〜が目安)。【未達ペナルティの相場】これらの数値は店舗・情報源によって大きくばらつくため代表レンジとして捉えてほしい。指名=不足1本につき1,000〜5,000円(高くて1万円という声も)/同伴=不足1回につき1,000〜5,000円/売上=不足額の5〜15%(情報源により20〜30%という記述もあり、一致しない)/出勤=1日につき2,000〜5,000円。罰金形式のほか、翌月の時給を下げる「逆スライド」など実質減給のケースもある。近年は初心者・学生・副業層向けに「ノルマなし・ペナルティなし」を明記する店も増えている(遅刻・当日欠勤・無断欠勤の罰金はノルマとは別系統で、業態・地域を問わず大半の店にある)。注意点:未達ペナルティとしての「罰金天引き」「一律の控除」は、労働基準法の賃金全額払い・控除制限の観点から違法となり得るとの専門家・法律事務所の指摘がある。実態として広く行われていることと、適法かどうかは分けて理解する必要がある。ホストクラブで未達が高額売掛・性風俗就労の要求につながる事例は社会問題化し、2025年(令和7年)成立・施行の改正風営法(主要規定2025年6月28日施行、一部2025年11月28日施行)で、売掛回収目的の威迫・本番行為強要が禁止・罰則化され、無許可営業等の罰則も強化された。
よくある質問
- ノルマ未達だと必ず罰金を取られますか?
- 店のノルマのタイプによります。未達にペナルティが科される「絶対達成ノルマ」と、努力目標で未達でも罰金のない「目標ノルマ」があり、面接時にどちらかを確認するのが重要です。なお罰金天引きや一律控除は、労働基準法の賃金全額払い・控除制限の観点から違法となり得るとの専門家の指摘があります。
- ノルマには具体的にどんな種類がありますか?
- 代表的なのは「売上ノルマ」「指名(本指名・場内指名)の本数ノルマ」「同伴ノルマ」「出勤日数ノルマ」の4つです。さらにクリスマス・周年・バースデーに合わせた「イベントノルマ」が加わることもあります。基準は人気度や契約に応じて個別に設定されます。
- 業態によってノルマの厳しさは違いますか?
- 傾向としては、銀座・六本木の高級クラブやキャバクラなど売上至上主義の店でノルマ・ペナルティ文化が強く、スナックやガールズバーは小規模・カジュアルで緩い/無い店が多いです。ただし同じ業態でも店ごとの差が大きいので、傾向として捉えてください。
出典(14件)・監修
監修:中込 洸(日富士貿易 代表/夜レジ統括)。業務用語は実機仕様、相場・スラングは複数の業界情報を突合し敵対的レビューで検証。最終更新:2026-06-19。
- https://lounge-steward.com/blogs/9838/
- https://liberal-company.com/hostess-kokoroe-702/
- https://liberal-company.com/hostess-kokoroe-812/
- https://www.chick.co.jp/recruit/column/quota/
- https://chocolat.work/column/service/429/
- https://kyabakura-web.com/hataraku/kyabakura-noruma/
- https://wakailaw.com/fuzoku/6509
- https://www.mag2.com/p/news/206629
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%9E
- https://gimon-sukkiri.jp/norma/
- https://www.police.pref.kanagawa.jp/tetsuzuki/eigyokankei/oshirase/mesd0181.html
- https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/hostclubto/hostclubto.html
- https://corporate.vbest.jp/columns/8011/
- https://yoruno.jp/reji/features/