定義
水商売・飲食の現場で「伝票」とは、1卓(1組)ごとの注文内容と会計金額を記録した紙片またはデータのこと。セット料金・延長・指名(本指名/場内指名)・キャストドリンク・ボトル・サービス料/TAXなどを書き込み、卓の精算(お会計)の根拠とする。注文の控え、厨房やバーへの注文伝達、会計金額の提示、控えの保存という複数の役割を1枚で担う。
会計用語としては、取引の事実(いつ・誰が・どんな取引を・いくらで)を一定様式で記録・伝達する書面の総称で、これをもとに仕訳帳・総勘定元帳が作られる。現金を多く扱う飲食・水商売では「お会計伝票」が売上高の証憑書類として重要になる。飲食現場では用途別に複数種が使い分けられ、注文伝票(キッチン/バーへ注文を伝える)、会計伝票(精算に使う・複写式でお客様控えと店舗控えに分かれることが多い)、売上伝票(1日の売上を集計する)などがある。注意したいのは、会計時に渡される伝票は支払い完了の証明(領収書)ではなく、会計を確定させるために金額を確認する管理伝票だという点。夜の店では、この卓ごとの伝票が締め作業・売上集計・給与(バック)計算の起点になる。
読み・由来
読み:でんぴょう
もともと「伝票」は、企業などの組織で発生した現金・物品の取引事実を一定様式で記載・保存し、関係者へその内容を伝達(=伝)するための紙片(=票)を指す言葉。会計帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)を効率的に作る「伝票式(伝票会計)」の道具として普及した。この一般語が飲食・接客業に持ち込まれ、卓ごとの注文と会計を記録する「お会計伝票/会計伝票」として定着。水商売でも同じ語が使われ、卓単位の売上・指名・バックを記録する基本帳票として運用されている。
使い方(例)
(黒服→新人ボーイ)「3卓の伝票、延長分とキャストドリンク書き漏れてるぞ。会計前に必ず追記して」
(会計時)「お客様、こちらが本日のお伝票です。セット2時間と指名、ボトル1本でこちらの金額になります」
業態による違い
飲食一般(居酒屋/レストラン等)では伝票=注文と合計金額の記録が中心で、会計伝票・注文伝票・キッチン伝票の三役が主。水商売では同じ伝票上に「時間制(セット/延長)」「指名(本指名・場内指名)の種別と回数」「キャストドリンク・ボトル(誰の卓か)」「サービス料/TAX」が積み上がり、さらに各項目がキャスト個人のバック(歩合)計算に直結する点が決定的に異なる。キャバクラ/クラブ/ホストでは指名・延長・ボトルが複雑に絡むため伝票の情報密度が高くなり、スナック/ガールズバーはチャージ中心で相対的に項目が少ない。クラブやホストの高単価店ではボトル・シャンパン等で金額が大きく動く。卓ごとの伝票が締め(集計)・日報月報・給与計算・売掛(ツケ)管理の一次データになるのは業界共通の特徴。
夜レジでの扱い
夜レジ(水商売特化POS)では、紙伝票を電子化し「会計の確定=伝票の確定」をすべての計算の起点(トリガー)に据えている。公式の考え方は「会計を確定して初めて、バック・給与・売上集計に反映されます。確定前と確定後をはっきり分けるので、数字が二重に動きません」というもので、伝票確定が(1)売上集計、(2)5系統のキャストバック(指名/延長/オーダー商品/本指名売上/ボトル)、(3)給与計算へ連鎖する。
実機のバック計算ロジックは細かく、たとえば本指名がいないフリー卓のボトルバックは場内指名キャスト全員で均等割りし、丸めは最後に1回だけ行う。スライド時給はmax(本指名売上ベース/ポイントベース/保証時給)を取り、月は労働時間で加重平均する。ホステス源泉徴収では計算期間の日数を控除する。会計データから日報・月報を自動作成(PDF出力可)、ボトルキープは場所/期限を管理、売掛は売掛管理機能で回収まで追える。料金改定は「伝票の時点で記録」されるため、確定済みの伝票は影響を受けず、改定は今日以降の会計にだけ適用される。
エアレジ/スマレジ等の一般POSは、こうした水商売特有のバック計算・スライド時給・源泉控除に非対応で、伝票を起点にした集計が手計算になりがちな点を差別化として打ち出している。バック計算の詳細は /reji/features/cast-back/ に、料金プランは /reji/pricing/ に、伝票確定から日報・売掛までの機能全体は /reji/features/ にまとめている。
相場・注意点
伝票に記録される会計項目の相場感が実務では重要になる。キャバクラの代表例ではセット料金が50〜60分1セットで約3,000〜10,000円(大衆店3,000〜4,000円/中堅5,000〜7,000円/高級10,000円以上)、本指名2,000〜3,000円前後、場内指名1,000〜3,000円前後、最後にサービス料/TAXが合計に対し10〜30%上乗せされるのが一般的。これらが1枚の伝票上で積み上がる。いずれも店舗・地域・時間帯で大きく変動するレンジ値で、断定値ではない点に注意。 運用面では、手書き伝票は繁忙期に50枚以上になり集計だけで1時間以上かかることもあり、営業中に伝票が卓間で入れ替わる・ドリンクの追記漏れ・字が読めず金額を誤計上するといったトラブルが起きやすい。紙の会計伝票は文具として流通し、単式・複写式(2枚=お客様控え+店舗控え、3枚=厨房控え追加)が選べる(冊子単位で数百円〜・用途配分は店舗運用により異なる)。近年は水商売特化POS(夜レジ/NIGHTCORE/Nighton/Dシステム/黒服.jp/LNXS等)が紙伝票を電子化しており、月額は概ね1万円前後〜のレンジ。
関連用語
よくある質問
- 伝票と領収書は何が違いますか?
- 伝票(お会計伝票)は会計を確定させるために注文内容と金額を確認・記録する管理伝票で、支払いが完了した証明にはなりません。支払い済みの証明として発行されるのが領収書です。会計時に渡される伝票を領収書と取り違えないよう注意してください。
- 水商売の伝票と居酒屋の伝票は違いますか?
- 役割の基本(注文と金額の記録)は同じですが、水商売の伝票には時間制のセット/延長、本指名・場内指名の種別、キャストドリンクやボトルが誰の卓かといった情報が積み上がり、各項目がキャスト個人のバック(歩合)計算に直結します。締め・日報月報・給与・売掛の一次データになる点が大きく異なります。
- 手書き伝票だと何が大変ですか?
- 閉店後に伝票を1枚ずつ読み解いて電卓で合計しExcelに転記する運用が一般的で、繁忙期は50枚以上になり集計に1時間以上かかることもあります。卓間での入れ替わり、ドリンクの追記漏れ、字が読めず金額を誤計上するといったミスが起きやすく、バック計算にも誤りが波及します。
出典(15件)・監修
監修:中込 洸(日富士貿易 代表/夜レジ統括)。業務用語は実機仕様、相場・スラングは複数の業界情報を突合し敵対的レビューで検証。最終更新:2026-06-19。
- https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/68190/
- https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/49080/
- https://cooks.work/contents/column/?p=42323
- https://www.rakuten.co.jp/nakano/contents/kaikeidenpyou/
- https://www.askul.co.jp/f/special/product_column/voucher/
- https://www.printfesta.com/column/denpyo-nouhinsho-seikyusho-ryosyusho-chigai/
- https://orderr.biz/media/how-to-write-orders-in-restaurants/
- https://hanazono-g.co.jp/blog/cabaretclub-pricingsystem
- https://unjour-tokyo.jp/column/hostess-club-set-what/
- https://times.trust-operation.com/caba-system/
- https://www.barcelona.co.jp/column/kyabayougo/sa-bisuryou/
- https://nightcore-pos.com/blog/cabaret/sales-management
- https://nightcollege.net/kyabakura_pos/
- https://nighton-system.com
- https://yoruno.jp/reji/features/