定義
水商売・夜職で「連絡を絶って突然いなくなる」ことを指すスラング。「逃げる/姿をくらます」のニュアンスで、当事者が客側かスタッフ側かによって意味が分かれる多義語です。
実務上は大きく2つの意味で使われます。①客が売掛(ツケ・未払いの飲食代)を支払わないまま音信不通になること。②キャストやスタッフ(黒服・ボーイ)が退店の申し出をせず突然出勤しなくなり連絡を絶って辞めること(=「バックレ」と同義)。①の客の不払いでは、残った売掛金額を担当のホストやキャストが立て替える(かぶる)ことが多く、深刻なトラブルになります。②の無断退職は給料日直後に起きやすいのが現場の通り相場です。なお予約した客がキャンセル連絡なしに来店しないことを「(客が)飛んだ」と呼ぶ用例もあります。
読み・由来
読み:とぶ
「逃げる/その場から消える」を「飛ぶ=姿をくらます」に見立てた俗語。複数のホスト用語集が「飛ぶ=逃げるの意」と記しており、売掛を踏み倒して消える客にも、無断で店を去るスタッフにも「忽然と消える」イメージが当てはまった結果、同じ語が両義に分化したと考えられます。明確な初出時期や成立経緯を裏付ける一次資料は確認できませんでした。
使い方(例)
(従業員)「あの子、給料日のあと飛んだらしいよ」 / (客側)「担当の客が売掛残したまま飛んで、立て替えるハメになった」 / (受け身)「ツケのまま飛ばれて、その分は担当の借金になる」
業態による違い
語義自体は全業態でほぼ共通(スタッフの無断退職+客の売掛不払い)ですが、力点に差があります。①ホストでは「客が飛ぶ=売掛踏み倒し」の比重が大きく、担当ホストの立替・借金化リスクが強調されます。②キャバクラ・ガールズバー・コンカフェではキャストの入れ替わりが激しく店も慣れているため「キャストが飛ぶ=無断退職」の用例が前面に出やすい傾向です。③クラブ・ラウンジ等でも無断退店(=飛ぶ)として同様に扱われます。予約客のすっぽかしを「飛ぶ」と呼ぶのは主にキャバクラ系の用語集に見られます。
夜レジでの扱い
客が飛ぶと売掛が未回収のまま担当者の立替・借金化につながるため、ツケ・売掛の残高をその場で可視化し、日次でこまめに精算・回収できる仕組みがリスクを抑えます。夜レジの会計・売掛管理の考え方は /reji/features/ を、料金は /reji/pricing/ をご覧ください。
相場・注意点
語義に幅がある語です。客の「飛ぶ」は「売掛を踏み倒して音信不通」を指す場合と「予約客のすっぽかし」を指す場合があり、文脈で読み分けが必要です。読みは確認した範囲では「とぶ」で一致し、地域差は見られませんでした。なお無断退職の是非など当事者の行為を推奨・非推奨と断じる語ではなく、現場語として中立に扱うのが適切です。
よくある質問
- 「飛ぶ」と「バックレる」は同じ意味ですか?
- スタッフの無断退職という意味ではほぼ同義で使われます。ただし「飛ぶ」は客が売掛を残して音信不通になることも指す多義語で、「バックレる」より意味の範囲が広い点が違いです。
- 「飛ばれる」「飛び」とは?
- 「飛ばれる」は受け身形で、客にツケを残して逃げられる側(担当)から見た言い方です。「飛び」は名詞形で「飛びが出た」のように使います。
- 客が飛ぶと売掛はどうなりますか?
- ホストやキャバの現場では、回収できなかった売掛を担当のホスト・キャストが立て替える(かぶる)ケースが多く、担当者の借金につながるトラブルになります。
出典(6件)・監修
監修:中込 洸(日富士貿易 代表/夜レジ統括)。業務用語は実機仕様、相場・スラングは複数の業界情報を突合し敵対的レビューで検証。最終更新:2026-06-19。