定義
ホステス・コンパニオン等への報酬から源泉所得税を計算するとき、基礎控除額(=5,000円×日数)を出すために使う「日数」のこと。所得税法205条2号・所得税法施行令322条が定める控除額「5,000円に当該支払金額の計算期間の日数を乗じて計算した金額」の、その「日数」部分を指す。
最大の注意点は、ここでいう日数が「営業日数」や「出勤日数(実際に働いた日数)」ではなく、報酬計算の基礎となった期間の「初日から末日までの全日数(暦日数)」だということ。月末締め(3/1〜3/31)なら、その月に何日出勤していても「31日」で数える。支払サイクルで日数は決まり、月払いなら28〜31日、半月払いならその半月の全日数、週払いなら7日、日払いなら1日となる。源泉税の式は「(報酬額 − 5,000円 × 計算期間の日数) × 10.21%」で、同月中に給与等の支払があるときは控除額からその計算期間の給与等の支給額を差し引き、求めた税額の1円未満は切り捨てる。実務で最も多い落とし穴が「出勤日数で天引きして源泉を引きすぎる」誤りで、正解は暦上の全日数である。
読み・由来
読み:けいさんきかんのにっすう
法令上の出典は所得税法施行令322条(報酬・料金等の源泉徴収における控除額の表)の文言「5,000円に当該支払金額の計算期間の日数を乗じて計算した金額」。この「計算期間の日数」を「出勤日数(実際の稼働日数)」と読むか「暦上の全日数」と読むかが長年争われ、最高裁第三小法廷 平成22年(2010年)3月2日判決(平成19年(行ヒ)第105号、民集64巻2号420頁)が、ホステスの実際の稼働日数ではなく当該期間に含まれるすべての日数を指すと判断し、納税者勝訴で決着した。判決は「計算期間=報酬を計算する期間の初日から末日までという時的連続性を持った概念」と文言どおり解釈している。これを受けて国税庁も解釈を改め、過大納付分の還付に関する留意事項を公表した。
使い方(例)
店長→経理「源泉の控除額は5,000円×計算期間の日数だから、3月分は出勤日数じゃなくて31日で計算してね」/ オーナー同士「うちは半月締めだから、計算期間の日数は1〜15日で15日、16〜末日はその月で変わるよ」/ キャスト→キャスト「前の店、計算期間の日数を出勤日数で天引きされてて源泉引かれすぎてたみたい。全日数が正解だって」
業態による違い
キャバクラ・クラブ・ラウンジ・スナック・ガールズバー・ホストクラブなど、ホステス報酬を「報酬・料金」として支払う夜のサービス業に共通して適用される。業態そのもので日数の数え方が変わるわけではなく、差が出るのは「支払サイクル」による。月末締め月払いなら28〜31日、半月締め(1〜15日/16〜末日)なら各半月の全日数、週払いなら7日、日払いなら1日。クラブ・キャバクラのように半月締めや月締めが多い業態では暦日数が大きく、その分控除額(5,000円×日数)も大きくなる。一方、日払い精算が中心の店では計算期間が1日となり、1回ごとに5,000円控除のみとなる。
夜レジでの扱い
夜レジ(水商売特化POS/給与計算)は、このホステス源泉控除を自動で計算する。機能ページには「スライド時給・各種バック・源泉所得税(ホステス控除)・厚生費3方式・給与率まで自動。報酬明細書PDFを出力」「複雑なバック・スライド時給・源泉・厚生費まで、会計と同時に自動で計算します」と明記されており、「計算期間の日数」を用いた源泉控除(5,000円×日数の基礎控除→残額に10.21%課税)を、最高裁判例ベース(=暦上の全日数)で処理する設計になっている。
実機のロジックでは、キャストバックは5系統(指名/延長/オーダー商品/本指名売上/ボトル)で集計し、本指名がいないフリー卓のボトルバックは場内指名キャスト全員で均等割り(丸めは最後に1回)、スライド時給=max(本指名売上ベース時給, ポイントベース時給, 保証時給)を月は労働時間で加重平均する、といった水商売特有の報酬計算と源泉控除をまとめて処理する。一般POS(エアレジ・スマレジ等)はこのホステス源泉控除や日数判定に非対応で手計算になりがちで、出勤日数で誤計算しやすい点が夜レジの優位点として説明できる。なお半月締め・週払い等の特殊サイクルや、同月給与併給時の給与額控除(同月給与の差引)まで自動処理しているかの細部は、機能ページの記載からは「源泉所得税(ホステス控除)自動」までしか確認できないため、対応範囲の網羅性は実機仕様での確認が望ましい。
計算の自動化の仕組みは機能ページ「キャストバック自動計算」(/reji/features/cast-back/)や機能一覧(/reji/features/)、搭載プランは料金ページ(/reji/pricing/)で確認できる。
相場・注意点
「5,000円」「10.21%」は2026年6月時点の現行水準(10.21%は復興特別所得税2.1%を加算した率で、復興特別所得税は2037年まで)。将来の税制改正で控除単価や税率が変わる可能性がある。 この控除が使えるのは、報酬が「給与所得に該当しないホステス報酬(報酬・料金)」の場合に限る。報酬が給与所得と判定されると通常の給与源泉徴収(税額表)になり本控除は使わないため、給与/報酬の区分判定が前提となる。また、消費税額が報酬と明確に区分されている場合は消費税額を除いた本体額のみを源泉対象にできる(任意)という実務もあり、店ごとの処理で差が出る。実務上の最大の落とし穴は「出勤日数で天引きして源泉を引きすぎる」誤りで、正解は暦上の全日数。違法性のある話ではなく、最高裁で確定した正しい計算方法をどう運用するかという税務論点である。
関連用語
よくある質問
- 「計算期間の日数」は出勤日数のことですか?
- いいえ。最高裁判決(平成22年3月2日)で、出勤日数(実際に働いた日数)ではなく、報酬計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数(暦日数)を指すと確定しています。月末締めなら出勤が何日でも、その月の暦上の総日数(28〜31日)で数えます。
- 源泉所得税はどう計算しますか?
- 式は「(報酬額 − 5,000円 × 計算期間の日数) × 10.21%」です。同じ月に給与等の支払があるときは、控除額からその計算期間の給与等の支給額を差し引きます。最後に1円未満は切り捨てます。10.21%は復興特別所得税(2037年まで)を含んだ率です。
- 支払サイクルで日数はどう変わりますか?
- 月末締め等の月払いならその月の暦上の総日数(28〜31日)、半月締めなら各半月の全日数、週払いなら7日、日払いなら1日です。いずれも出勤実態とは無関係で、報酬計算の基礎となった連続した暦日数で数えます。
出典(8件)・監修
監修:中込 洸(日富士貿易 代表/夜レジ統括)。業務用語は実機仕様、相場・スラングは複数の業界情報を突合し敵対的レビューで検証。最終更新:2026-06-19。
- https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2807.htm
- https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2010/pdf/11390.pdf
- https://the-tax-lawyer.com/case/report08/
- https://www.yamada-partners.jp/news-report/post_25
- https://zeikin-zeirishi.com/hosutesu-gensenchoushu/
- https://saitama-fuuei.com/fuueihou-gensentyosyu/
- https://yg-tax.net/archives/5729
- https://yoruno.jp/reji/features/