定義
客が抱えている「掛け」(売掛・ツケ=飲食代の後払い債務)を材料・道具として、客を担当者や店に縛りつける行為の総称。語の使われ方には二つの層があり、(1)未払いのツケを盾に脅し(威迫)て来店・支払い・追加注文を迫る違法な取り立て行為と、(2)客に絶え間なく掛けをつくらせ、その返済のための来店サイクルで客を囲い込む営業手口の両方を指す。後者は返済し終える前に新たな掛けをつくらせることで関係が切れないようにし、他店に通わせない抑止力としても機能する。複数の用語集で「ツケを脅しにする行為」と簡潔に定義される一方、明示的な脅迫を伴わない囲い込みの意味でも広く使われており、どちらが主流かは出典で割れている。
読み・由来
読み:かけしばり
「掛け」(売掛・ツケ=飲食代の後払い)+「縛り」(拘束・束縛)の複合語。ホストクラブで生まれた業界隠語で、掛けという信用取引(担当者が客の飲食代を立て替え、客はその個人に対して債務を負う仕組み)を悪用し、債務関係で客を心理的・経済的に拘束することから。掛け(ツケ)自体は井原西鶴『世間胸算用』にも描かれる古い商慣習だが、「掛け縛り」はホスト・水商売業界に固有の俗語。確認できた範囲では2013年のホスト用語ブログに既出だが、それ以前から口頭で使われていた可能性が高い。
使い方(例)
「あの店は掛け縛りがエグいから、一度ハマると抜けられない」「ツケを盾に来店を迫るのは掛け縛り=恐喝になりかねない、絶対にやるな」
業態による違い
主にホストクラブで使われ最も典型的だが、キャバクラ・ガールズバー・会員制ラウンジの業界用語集にも共通して収録されており、客に掛け(売掛)をさせる業態全般で通用する。ホストでは女性客を縛る文脈、キャバ・ラウンジでは男性客を縛る文脈で語られる点が業態で反転する。なお2024年4月に歌舞伎町大手で売掛が自主全廃され、2025年6月28日施行(令和7年法律第45号)の改正風営法で売掛回収目的の威迫等が刑事罰化されたため、制度・行為とも規制・縮小傾向にある。
相場・注意点
業界でも明確にタブー視・違法視される行為で、複数の用語集が「警察沙汰や大きな騒動に発展するので絶対に止めておきましょう」と注意喚起している。ツケを盾にした脅迫的な取り立ては恐喝罪(刑法249条)や強迫(民法96条)に当たり得るほか、2025年6月28日施行(令和7年法律第45号)の改正風営法では売掛金回収目的の威迫等が禁止され、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となる(風営法22条の2(禁止規定。違反は罰則章により処罰))。さらに返済のため売春や風俗勤務を強要すれば職業安定法違反等にもなり得る。料金体系を指す語ではないため相場の概念はなく、ここでは法的リスクを注意点とする。
よくある質問
- 掛け縛りは違法ですか?
- ツケを盾に脅して支払いや来店を迫る取り立ては、恐喝罪(刑法249条)や強迫(民法96条)に当たり得ます。また2025年6月28日施行(令和7年法律第45号)の改正風営法では、売掛金の回収を目的とした威迫等が禁止され、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。明示的な脅迫を伴わない囲い込みの手口を指して使われることもありますが、いずれにせよ業界で要注意とされるワードです。
- 掛けと掛け縛りはどう違いますか?
- 「掛け」は飲食代を後払いにするツケ(売掛)そのものを指す仕組みの呼び名です。「掛け縛り」は、その掛け(債務)を道具にして客を担当者や店に縛りつける行為を指します。掛けを繰り返しつくらせて来店サイクルで囲い込む営業手口から、ツケを盾にした脅迫的な取り立てまで含む、行為・手口の呼び名です。
出典(6件)・監修
監修:中込 洸(日富士貿易 代表/夜レジ統括)。業務用語は実機仕様、相場・スラングは複数の業界情報を突合し敵対的レビューで検証。最終更新:2026-06-19。
- https://www.loungeresearch.com/topics_glossary/ka.php
- http://blog.livedoor.jp/host_word/archives/3220577.html
- https://life-is-verybeautiful.com/664.html
- https://voice.php.co.jp/detail/12268
- https://keiji-bengosi.com/kaisei-huueihou-de-irokoieigyou-kakebarai-kinmukyouyou-ga-kinshini-ibarakiken-huueihouihanjiken-to-shinkitei-no-kaisetsu/
- https://www.gladiator.jp/fuzoku-komon/