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【水商売の確定申告】「バレない」を卒業しよう。税務調査に怯えず、堂々と節税して手元にお金を残すための教科書

はじめに:税金は「罰金」ではなく「通行手形」

「売上を少し抜いてもバレないだろうか?」 「キャストへのバックを経費で落とせば、消費税は払わなくて済む?」

夜の街で戦うオーナー様から、こうした相談を受けることは少なくありません。 お気持ちは痛いほど分かります。水商売はただでさえ経費率が高く、利益を確保するのが難しいビジネスです。そこに重い税金がのしかかれば、少しでも逃れたくなるのは経営者としての生存本能かもしれません。

しかし、断言させてください。令和の時代、無申告や売上隠しは「必ず」バレます。 国税庁のシステム(KSKシステム)や調査能力は、私たちが想像する遥か上を行っています。

今日は、恐怖に怯えながらコソコソ経営するのをやめ、「正しく節税し、正々堂々と利益を残す」ための具体的なノウハウをお伝えします。これは、あなたのお店が将来、銀行から融資を受け、2店舗目、3店舗目と拡大していくための「通行手形」を手に入れる話です。


1. なぜ、税務署はあなたの店の売上を知っているのか?

「現金商売だから証拠は残らない」というのは、一昔前の迷信です。 税務署は、あなたの店に直接来なくても、外堀から確実に情報を掴んでいます。

  • 反面調査(はんめんちょうさ): 酒屋さんやおしぼり業者の帳簿を調べれば、あなたの店が「どれくらい仕入れているか」が分かります。仕入れ量から逆算すれば、売上がいくらあるかは一目瞭然です。
  • キャスト・スタッフのタレコミ: 退職したスタッフや、無申告を指摘されたキャストが「あのお店もやってます」と情報を漏らすケースは後を絶ちません。
  • SNSとポータルサイト: Instagramのシャンパンタワーの写真、ポータルサイトのイベント告知。これらはすべて「売上の証拠」として監視されています。

隠そうとする労力は、いつか必ず徒労に終わります。それよりも、そのエネルギーを「認められる経費」を漏れなく計上することに使った方が、精神衛生上も財務上も遥かに健全です。


2. 水商売特有の「経費」の境界線を知る

「節税」の基本は、売上を隠すことではなく、経費を正しく積み上げることです。 水商売は、他の業種よりも「経費として認められる範囲」が特殊です。ここをしっかり押さえましょう。

認められやすい経費(一例)

  • 衣装代・美容代: キャストや黒服の業務に必要なスーツ、ドレス、ヘアセット代。
  • タクシー代: 深夜営業に伴う送迎や帰宅費用(※日付と行き先、目的のメモ必須)。
  • 交際費: 同業他社の視察、お客様とのアフター飲食代(※誰と行ったか記録必須)。
  • 内装・装飾費: お店の雰囲気を保つための修繕や飾り付け費用。

否認されやすい経費(NG例)

  • オーナーの私的な飲食: 家族との食事や、業務に関係のないプライベートな飲み代。
  • 架空の人件費: 働いていない親族への給与支払い。
  • 使途不明金: 領収書のない出金(使途不明金として課税対象になります)。

領収書を「ただの紙切れ」だと思って捨てていませんか? それは「お金そのもの」です。1万円の領収書を捨てることは、約3,000円(税率による)の税金をドブに捨てているのと同じです。


3. 「消費税」という最大の落とし穴

現在、多くの店舗オーナー様を悩ませているのがインボイス制度と消費税です。 「売上が1,000万円以下だから関係ない」と思っていませんか?

キャストさんへの報酬を「外注費」として処理している場合、インボイス登録をしていないキャストさんへの支払いは、仕入税額控除ができず、お店側が消費税を肩代わりして納税しなければならないケースが増えています。

これに対応するには、以下の2つの選択肢しかありません。

  1. キャストさんと対話し、インボイス登録を促す(価格転嫁などの交渉含む)。
  2. キャストさんを「雇用契約(給与)」に切り替える。

どちらも痛みを伴いますが、ここをなあなあにしておくと、数年後の税務調査で数百万〜数千万円単位の追徴課税(本来払うべき税金+罰金)を請求され、一発で倒産に追い込まれるリスクがあります。


4. 明日からできる「ホワイト経営」への3ステップ

税金の不安を消すために、今日からできることがあります。

  1. 領収書は「スマホで撮影」して保存: 紙の管理が苦手なら、電子帳簿保存法に対応したアプリで撮影し、その場でデータ化しましょう。溜め込むと絶対にやりません。
  2. 売上データは「日次(毎日)」で締める: 「どんぶり勘定」が最大の敵です。毎日の売上、客数、客単価をデジタルで記録してください。このデータがあれば、税理士もあなたを全力で守れます。
  3. 税理士を「味方」につける: 「水商売に強い」税理士を探してください。業界の商慣習を理解している税理士なら、ギリギリの節税ラインを攻めつつ、税務署に対して論理的に反論してくれます。

結び:胸を張って「オーナー」と名乗るために

「うちは税金も誤魔化さず、クリーンにやっている」 そう言えることは、あなた自身のプライドになるだけでなく、働くスタッフやキャストさんへの最大の「安心材料」になります。

「いつかバレるかも」とビクビクしながら稼ぐ100万円より、堂々と納税して残った70万円の方が、次の未来を作る「生きたお金」になります。 正しい知識とデータ管理で、強いお店を作っていきましょう。


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