「うちは家族みたいな店だから、不正なんてありえないよ」
そう笑っていたオーナー様ほど、裏切られた時のショックは計り知れません。 夜ペディア編集部です。
今回は、少しシビアなテーマですが、「店舗内での不正(横領・ちょろまかし)」についてお話しします。 決して「スタッフを疑え」と言いたいわけではありません。むしろ逆で、「誰も疑わなくて済む仕組み」を作ることが、スタッフを守ることに繋がるというお話です。
なぜ、夜のお店で不正が起きるのか?
飲食店の中でも、特に水商売は不正が起きやすい構造にあります。
- 現金の動きが激しい(その場でのチップ、高額な会計)
- 料金体系が複雑(セット、指名、延長、サービス料…)
- 監視の目が行き届かない(個室、暗い照明、深夜の酔い)
この環境下で、手書き伝票や電卓だけで管理をしていると、どうしても「魔が差す」瞬間が生まれてしまいます。
よくある3つの「ちょろまかし」手口
具体的に、どのような手口で売上が抜かれるのでしょうか。アナログ管理の店で実際にあった事例です。
1. 空(カラ)伝票の計上
実際には注文されていないドリンクやフードを伝票に書き込み、お客様から料金を徴収。その差額をポケットに入れる手口です。 お客様が酔っている場合、レシートを細かく確認しないことを利用されます。
2. 人数の過少申告
「フリー3名様ご来店」なのに、伝票には「2名」と記載し、1名分のセット料金を抜く。 特に忙しい週末など、オーナーがホール全体を見渡せない時に発生しがちです。
3. 延長時間の「握りつぶし」
お客様が延長したのに、その時間を記録せず、延長料金をスタッフが着服する、あるいはキャストと結託して「延長してないこと」にしてしまうケースです。
「性善説」経営の限界
「長年働いている黒服だから大丈夫」 「あの子は真面目だから大丈夫」
その信頼は素晴らしいものですが、経営におけるリスク管理としては危険です。 人間は弱い生き物です。借金、ギャンブル、急な出費…。どうしてもお金が必要になった時、目の前に「バレない現金」があったらどうでしょうか。
不正ができる環境(穴)を放置しておくことは、スタッフに罪を犯させるきっかけを与えているのと同じです。
デジタルで「魔が差す隙」を塞ぐ
これらを防ぐ唯一の方法は、「誰が・いつ・何を操作したか」を記録に残すこと(ログ管理)です。
ここで、POSレジ(システム)の出番です。
- オーダー時間の自動記録: 注文が入った瞬間、システムに時間が刻まれます。「後から伝票を書き換える」ことが不可能になります。
- 延長アラート機能: 時間が来たらタブレットが光ってお知らせ。スタッフのさじ加減で延長時間を誤魔化せなくなります。
- 会計履歴の可視化: 「いつ、誰が会計ボタンを押したか」が全て残ります。不自然な修正や取り消しがあれば、すぐに気付けます。
仕組み化は「優しさ」です
ガチガチに管理すると「スタッフを信用していないみたいで嫌だ」と感じるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか? 万が一、レジのお金が合わなかった時、アナログ管理だと「その日出勤していた全員」を疑わなければなりません。これはお店の空気を最悪にします。
システムが入っていれば、「記録に残っているから、誰も疑う必要がない」のです。
「不正ができない仕組み」を作ることは、大切なスタッフを「犯罪者」にさせないための、オーナーとしての最大の優しさです。
もし現在、手書き伝票やあやふやな管理で不安を感じているなら、一度システムによる管理を検討してみてください。 それはコストではなく、お店とスタッフを守るための「保険」になるはずです。

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